在庫評価ダッシュボード

会社が在庫などの有形資産を保有している場合、それらの商品にどれくらいの費用がかかっているか、あるいは現在それらの価値がどれくらいあるかについて、概算で把握する必要があります。在庫を金額的価値に換算するこのプロセスは、*在庫評価*と呼ばれています。

在庫価値は会計目的で報告されることがよくあります。例えば、洪水や火災が発生した場合に備えて、保険会社は倉庫に保管されている商品の価値を知る必要があります。

在庫評価 は通常、2つの会計システムのどちらかを利用しています:

  • 継続:在庫は常に(継続的に)更新され、価値は常に変化します。

  • 定期: 在庫の価値は随時(定期的に)チェックされ、その時点での価値が設定されます。

Odooで 追跡されている在庫 を使用するには、いつどこに在庫があるか、また在庫がどれだけあるか、あるいは予測されるかを知る必要があるため、継続 在庫会計システムが必要です。Odooで使用される一般的な 在庫評価方法 には、標準価格平均原価 (AVCO)、先入先出 (FIFO) 会計などがあります。 プロダクトに選択された評価方法が、在庫評価レポートの複数のフィールドの計算に影響を与えることを知っておくことが重要です。

ダッシュボードを開く

Odooの 在庫評価 ダッシュボードは、各プロダクトの在庫評価方法に従って、追跡された在庫の全てについて財務価値を表示します。 このレポートは、購買原価の低下や収益性の遅延など、サプライチェーンにおける潜在的な問題についての洞察を提供することができます。 ダッシュボードにアクセスするには、在庫アプリ ‣ レポート ‣ 在庫評価 に進みます。

重要

在庫レポーティング メニューは、管理アクセス を持つユーザのみがアクセスできます。

このダッシュボードには、3つの異なるビュー、または在庫レポートがあります。 リストビュー (例:デフォルトの在庫評価レポート)、ピボットビュー です。各ビューは、プロダクト、オペレーションタイプ、日付、会社別に在庫評価を分類するために、異なるフィールドでカスタマイズすることができます。

3つのビュー全ては、様々なフィールドでフィルタリングすることができます。フィルタを適用するには、レポートの上部にある検索バーをクリックするか、その隣にあるドロップダウン矢印をクリックします。例えば、フィルタ 残数量あり を選択すると、現在在庫のあるプロダクトのみが表示されます。

リストビュー: 在庫評価

デフォルトでは、在庫評価 ダッシュボードは リストビュー で表示され、 (リスト) アイコンで表されます。在庫の動きとその評価の詳細な記録を表示します。

設定

デフォルトでは、以下の列が表示されます:

  • 日付: 在庫移動 が作成された日時です。 評価レポートは、在庫評価時に時間の重要性を強調するために、このフィールドでデフォルトでソートされます。 レポートを別の列でソートするには、列タイトルをクリックするだけです。

  • 参照: この在庫仕訳に関連する参照ドキュメント(例えば、倉庫入荷、配送オーダ、手動在庫調整など)。

  • プロダクト: 移動され、評価されたプロダクト。

  • Quantity: この特定の在庫移動で増加または減少したプロダクトの在庫数。

  • 合計金額: この特定の仕訳におけるプロダクトの在庫の価値で、数量 と:guilabel:単価 を掛けて算出されます。

注釈

参照 ドキュメントに複数の商品が含まれている場合、レポートには各商品ごとに別々の明細が作成されます。

このビューに追加できるフィールドがあり、在庫の評価についてより詳しく知ることができます。フィールドを追加するには、 (調整) アイコンをクリックし、必要なフィールドを選択します。

  • ロット/シリアル番号: このプロダクトを唯一識別するロットまたはシリアル番号。

  • 会社: 複数の会社でオペレーションを行っている企業の場合、このフィールドには、この在庫移動が行われた会社が表示されます。

  • 残数量: 需要が考慮された後(他の在庫移動も含む) の、このプロダクトの評価における残数量。このフィールドは、 FIFO および AVCO 会計に特に役立ちます。なぜなら、どの在庫が最初に倉庫に入庫されたか、およびその在庫の価値が分かるためです。

  • 単価: 会社にとってのプロダクト1単位あたりの原価 (消費者への価格では ありません)。

  • 説明: この在庫評価の理由(通常は、在庫移動の発生)の説明。 デフォルトでは、このフィールドは 参照 および プロダクト フィールドの結合として設定されます。 ただし、このフィールドには、この明細行に関するその他の重要なメッセージ (例えば、明細行がプロダクトの在庫評価方法の変更による調整であることを示すメモなど) も表示できます。

  • 残在庫価値: 需要が考慮された後の、この在庫移動における、現在の在庫レベルの価値。残数量 とともに、このフィールドは、FIFO および AVCO 会計に特に役立ちます。なぜなら、どちらの在庫が先に倉庫に入庫されたか、またその在庫の価値が示されるからです。

ちなみに

これらの設定の一部は、管理 アプリケーションで最初に有効にしないと表示されない場合があります。

在庫評価レポート

在庫評価レイヤ(SVL)

在庫評価 レポートの各明細は、Odooのシステム内の 在庫評価レイヤ(SVL) として知られるレコードを表します。 SVL は、プロダクトの在庫評価に影響を与える方法でプロダクトが移動した際に生成されます。具体的には、SVL を生成する在庫移動には、倉庫への入荷、配送、直送オーダ、直送返品などがあります。 SVL を作成するには、まずこれらの在庫移動を検証済 (検証 ボタンをクリック) にする必要があります。

プロダクトフォームでプロダクトの在庫評価方法が変更された場合、結果として生じる SVL を反映するために、在庫評価 レポートに新しい明細行が生成されます。例えば、評価方法が 標準価格 から AVCO または FIFO 会計に変更された場合、在庫に残っている商品の価格変更を反映するために、再評価仕訳 が自動的に投稿されます。最初の仕訳は、古い価格設定を "削除" するためのマイナス仕訳となり、2番目の仕訳は、新しい価格設定を記録するためのプラス仕訳となります。これらの仕訳は、Odooの 会計 アプリの仕訳と連動しています。

以下は、標準価格会計を使用しているプロダクトでいくつかの在庫の仕訳が発生した場合に、在庫評価 テーブルに表示される内容の例です。

標準価格会計における在庫評価表

逆に、次の画像は、プロダクトが標準価格から FIFO 会計に切り替わった後の 在庫評価 報告書テーブルの見本です。

標準価格から先入先出(FIFO)法会計に切り替えた後の在庫評価表

Example

残在庫価格 および:guilabel:残数量 フィールドは、Odooの:abbr:SVL(在庫移動レイヤ) レベルで発生する内容から派生したものであり、そのため、具体例とともに理解するとより分かりやすくなります。

フランキーの委託販売店は、セーターを原価、つまり 単価 5.00ドルで仕入れています。今回初めて、フランキーは1回の在庫移動で 数量 100.00 枚のセーターを購買して入荷し、さらに2回目の在庫移動で 数量 -10.00 枚のセーターを販売、配送しました。

最初の在庫移動明細では、2回目の在庫移動が記録されると、残数量100.00 から 90.00 に変更されます。この変更は、当初は100枚のセーターが購買され、現在では90着しか在庫が残っておらず、評価額にも90着分しか計上されていないことを反映しています。同様に、残在庫価格 は、$500.00 から $450.00 に減少します。合計価格 は、その後の取引に関わらず、$500.00 のままです。

一方、2番目の在庫移動明細の 残数量 は、-10.00 の数量が販売されたため、0.00 として記録され、変更されません。システムでは、SVL が販売取引だったため、その取引において評価が必要な在庫は残っていません。

残在庫価値と数量は、:abbr:`SVL(在庫移動レイヤ)` に基づいて計算されます。

評価日を変更する

特定の日付と時刻における在庫の評価を確認するには、在庫評価 ページの左上にある 評価日 ボタンをクリックします。レポートには、各仕訳の 数量 `と :guilabel:`合計金額 が表示されます。

注釈

在庫移動の 残数量 および 残在庫価格 は、過去の日付を選択してもその時点の値にはなりません。過去の日付を指定して在庫移動を表示しても、プロダクトの 現在の在庫数量と評価額 が表示されます。

Example

ある企業では、1月1日に100個の在庫があり、そのうち20個を2月1日に販売しました。2月1日には、SVL残数量100.00 から 80.00 に減少します。他の在庫移動が行われず、2月1日に 日付指定評価 が1月1日として選択された場合、残数量80.00 のまま表示されます。

ピボットビュー: 在庫経過

在庫評価 ダッシュボードから、 (ピボット) アイコンをクリックしてピボットビューにアクセスします。 このビューは本質的には 在庫経過レポート であり、購買日ごとの在庫の手持数量と価格を表示します。これは、使用期限のあるプロダクトのモニタリングに役立ちます。

設定

デフォルトでは、ピボットビューには、全ての プロダクトカテゴリ の値が 日次および月次 で表示されます。 各列または行にあるアイコン:fa-plus-square:fa-plus-square (プラス) アイコンをクリックすると、在庫評価をより詳細に分析するためのオプションのドロップダウンリストが表示されます。 ドロップダウンオプションには、以下のものが含まれます。プロダクト, ロット/シリアル番号, プロダクトカテゴリ, 日付, 会社, または カスタムグループを追加 (マイナス) アイコンをクリックすると、フィールドが空の状態に戻ります。

表の 残数量 列には手持在庫数が表示され、残金額 列にはこれらの商品の購買総コストが表示されます。

在庫経過レポート、プロダクト行項目と日列を表示

グラフビュー

アイコン:fa-area-chart (グラフ) アイコンをクリックすると、在庫価値をグラフで表示できます。デフォルトでは、グラフはアイコン :fa-line-chart の折れ線グラフ表示で、Odooにおける時間経過に伴う在庫価値の累計合計が表示されるようにフィルタリングされています。

レポートの一番上では、代わりに の棒グラフまたは の円グラフを選択できます。